小野寺 正
KDDI株式会社 代表取締役会長
KDDI会長の小野寺です。
東日本大震災で被災された方々に心からお見舞い申し上げます。
また、復興活動に全力を尽くしておられる皆様に敬意を表します。
東日本大震災の発生当時、私は東京におりましたが、想像を絶する津波をテレビで目にし、その被害の大きさに言葉もありませんでした。私は子供のときからずっと仙台育ちで、三陸のリアス式海岸に津波がやって来るということは聞かされていました。しかし、仙台に津波が来るということは聞いておらず、それが仙台空港まで波が押し寄せ、海水浴に行った浜が津波で見る影もなくなっている映像は信じられない光景でした。
そんな大地震から1年半が経過し、復旧はそれなりに進んでおりますが、復興という意味ではまだまだこれからです。大震災はこれまでの地域産業に大きなダメージを与え、現地の雇用事情にも暗い影を落としています。また、住環境が変わったことにより、生活動線に沿ったインフラや非常災害時の対応など、考え直さなければいけない問題も数多く生じています。同時に、被災された方々の心情にも十分な配慮が必要です。このように、被災地域の再生、そして産業振興などにどう取り組むかは喫緊の重要課題ですが、そのためにICTをどのように利用するかがキーファクターの一つとなっています。
そのような状況の中で、私は、被災地で今、何が必要か、何が問題なのかなど、現地からの色々な情報を発信していくことが、迅速で効果的な復興のための重要なアクションと考えています。これは被災地に限らず、これからの日本社会では情報発信に対する姿勢が特に重要で、そのための便利な手段を簡易に提供するのがICTであるはずです。特にスマートフォンやSNSの利用が拡大し、大企業ばかりでなく中小企業であっても、個人であっても、あるいは地方にあっても、それらのツールを用いて簡単に且つ迅速に情報発信をしてビジネスチャンスが拡大できる可能性がありますし、高齢者や未成年者といったジェネレーションや地域も全て超えて情報発信が可能になることの意義は大きいと思っております。
ICTは、そんなやる気のある人にいろいろ有効に活用して頂けるツールですので、粘り強い東北の方々を中心にICTを活用してどんどん新しいことにチャレンジし、ビジネスにも是非繋げて欲しいと思います。そして一日も早い復興が実現できるよう、私どもも皆様と共にがんばってまいります。
略歴
- 昭和45年 3月
- 東北大学工学部電気工学科 卒業
- 昭和45年 4月
- 日本電信電話公社(現日本電信電話株式会社)入社
- 昭和59年11月
- 第二電電企画株式会社入社
- 平成 元年 6月
- 第二電電株式会社取締役
- 平成 7年 6月
- 同社常務取締役
- 平成 9年 6月
- 同社代表取締役副社長
- 平成12年10月
- 株式会社ディーディーアイ代表取締役副社長
- 平成13年 4月
- KDDI 株式会社代表取締役副社長
- 平成13年 6月
- 同社代表取締役社長
- 平成17年 6月
- 同社代表取締役社長兼会長
- 平成22年12月
- 同社代表取締役会長(現在に至る)